サッカー少年よ、勉強しろ!

サッカー少年から一転、2017年中学受験に向けて勉強はじめたツグオの記録。兄ナガオはサッカー三昧。

がん治療が意外に安く済みそうになったけれど、仕事はますますやめられない - Day29

検査費用の高さに辟易としている中、高額医療費の払い戻し方法などを調べておこうと健康保険組合のWEBサイトを確認していたところ、気になる記述がありました。

医療費の自己負担額

所得区分

適用
区分

自己負担限度額
標準報酬月額83万円以上 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
※ 140,100円
標準報酬月額53万~79万円 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
※ 93,000円
標準報酬月額28万~50万円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
※ 44,400円
標準報酬月額26万円以下 57,600円
※ 44,400円
低所得者
(住民税非課税世帯)
35,400円
※ 24,600円

 

これは知ってるやつ。高額療養費というので、私は適用区分がアなので、例えば100万円医療費がかかった場合は上の計算式にあてはめて、自己負担額は254,180円。100万円もかかることなんてある?と思うので(*その後それくらいかかることもあることを知りました。。)、月額の自己負担MAXは25万円とみておけばよいでしょう。しかも申請しなくても自動で給付してくれるようなので手間いらず。うちの健保はいい人ねぇ。人じゃないけど。

月25万円、まぁ働いてたらなんとかならなくもないか、贅沢しなきゃさ、とは思いますが。

そしてさらにこんな記述あり。

●一部負担還元金(被保険者)、家族療養費付加金(被扶養者)等 (付加金)
さらに当組合では付加給付制度を実施しているため、保険医療機関等で受診した際の支払額(「入院」「外来+調剤」別)が20,000円を超えたときはその超えた額が一部負担還元金、家族療養費付加金等(付加金)として給付されます。高額療養費に該当しない場合でも付加金は給付されます。

え?2万円超えた分を給付してくれるの?つまり私の自己負担金の月額MAXは25万円じゃなくて2万円なの?

にわかには信じがたく、ナースの友達に聞いてみたら、「そうだよ、健保によっては2万円とか2万5千円とかが自己負担額の上限にしていところは多いよ。でも超過分は申請しないと給付されない健保が多いから、知らずに利用していな人も結構いるからいつも患者さんには注意を促している」というではありませんか。

えー、しらんかったわぁ。そういうば以前お給料に謎の付加金があり、なんじゃこれ?とおもいつつも給与明細が英語でよくわからなかった&もらえるもんはもらっとけ精神でほっておいた記憶あり。あの時は確かに病院の検査が多くて高額の出費があったときだったわ。。

付加給付金(医療機関で月額2万円を超えた部分)も自動でお給料にプラスして還付されてくれるといううちの健保。ほんといい人!人じゃないけど。

なんか経済的負担が減ってぐっと気が楽になりましたよー。高額な検査も手術もこれで怖くないぜ。怖がるべきものは他にたくさんあるのですが・・

でも、ということは、治療が続くかぎり、この健保からは離れてはいけないということで。ますます仕事がやめられなくなったということですね。とほほ。

夫に仕事の相談をすると、もう無理しなくていいよ、とは言ってくれていたのですが、この給付金のことを話したところ、「それはデカいからちょっとは無理しろ」と掌を返されました。地獄の沙汰も金次次第。

「私、がんなの」カミングアウトの難しさ - Day28

乳癌がステージ3Cという診断をうけ、そろそろ子どもや親、親しい友人へ告白するタイミングになってきました。当初、がんのステージが2Bという見込みだったので、あまり会わない親兄弟にはバックレて、治ったころに「いやー、実は癌だったんだよね」という告白方法を検討していました。毎日会う近所の友人には「最近ウィッグにはまってて」という趣味嗜好ネタでごり押してみよう、息子は1年ぐらい海外へ留学させちゃえ、とかを夢想してました。

というのも、ナースをやっている友人二人にだけは癌であることを伝えたのですが(彼女らはエキスパートなので大丈夫だろうとふんだ)、そしたら彼女らなりの気遣いで結構厳しいことを言われたり、疎遠になったりしてしまいまして・・。その時に痛感しました。やっぱりみんな元気な私が好きで、「がん」という言葉の持つパワーは強くて、不吉なにおいがして、避けたいのだろうな、と。もちろん優しくていい人たちなので、自覚はないでしょうが、私の被害妄想ではなく、今までの様に話したり笑ったり将来を夢見たり愚痴を分かち合うには、私の立ち位置が変わっていると無意識下で考えるのだと思います。がんの話は聞く方にも大きな負担があり傷つけてしまうのですよね。

なので、もう誰にも話すことなく、がんを治すぜ!と思っていたのですが・・・診断結果は想定外のステージ3C。鎖骨リンパまで転移あり。うまく治療できるか怪しくなってきました。5年生存率は50%いかない、なんて話も・・。こうなるとやはり関係各位には連絡しておこうか、と思い始めますよ。

それにしても、がんって言葉のパワーが強すぎ。よく今はがんは治る病気だというけれど、

「私、骨折したんだ」

「私、癌なんだ」

では響きが違いすぎ。

それにがんだと知ってもしその人から距離を置かれたりしたら、今の私のメンタルではダメージが大きすぎな気がします。が、ゆえにどうやって誰に話せばいいかかなり悩みます。

高齢の母親には私の病気は伏せておきたいのですが、彼女元気すぎる人なので、私より長生きしそう。知らなかったとなると余計ショックかもしれないです。姉も体が弱い人だしとても感情的な人なので、冷静に話すのは難しそう。希望があるとすれば兄夫婦かな。兄はやさしい人だけど、友人に数人癌をわずらった人がいる(逝去した友もあり)し、義姉はこういってはなんですが血がつながってない分冷静に対応してくれそうな気がしますよ。もし何かあって誰もしらなかったら夫氏が親戚中の非難を浴びかねません。

息子たちへのカミングアウトはもう少し様子をみて。近所の友達には・・体調がダメになったら伝えようかなぁ。なので、近々に兄夫婦の元を訪ねてみようと思います。

なお、会社のチームメンバへの報告は身内ほどは悩みませんでした。仕事のサポートはどうしても受けないといけないし、正直、私が死んでも大丈夫な人たちだと思ってます。ww

 

それにしても。

一番の心理負担をかけているのはうちの心優しき夫氏。ありがたいことに家事全般、私よりできるので万が一私がいなくなっても一ミリも困りません。リモートワークで時間の融通もかなりきかせてくれて、必要があれば私の病院にも付き合ってくれます。結婚して20年以上、いつもくだらないことばかり言って私を笑わせてくれる人。いまだに「乳房再建のときはそのおなかの脂肪を使えるらしいよ!朗報だね!」とか言ってます。明るい気持ちにさせようとする気持ち半分、本音半分・・たまにイラっと来ます。

検査結果説明、腫瘍は予想より大きかった - Day27

検査結果の説明の日がきました。検査の時より数倍緊張するなーと思い、念のため血圧を測るもひどく正常。ただ脈拍は97と軽く運動したくらいドキドキしてました。( ´艸`)

一緒に説明を聞きに来た夫に「おもったより血圧は低かったよ」と余裕をみせてみるも「さっき昼ご飯食べたばっかでしょ?食後は血圧さがるんだよ」と一蹴されました。とほほ。

診察予約時間を1時間も過ぎたころに、やっと呼び出しがあり診察室へ。患者さんはみんな不安だから診察はどうしても押し気味になるよね。先生に「本当に長くお待たせして申し訳ありあません」と丁寧にお詫びいただいたけれど、そんなの全然気にしてませんわよ!

まずは各検査の結果を一つずつ説明してもらった。曰く

  • 血液検査はすべて正常(注、一年前からずっと好酸球値が高く、今回も上限8のところ19もありました。おかげで皮膚炎とかゆみにはひたすら悩まされています。)
  • BRCA遺伝的検査は陰性(つまり私の癌は遺伝ではなく、子供にもBRCA1/2の遺伝はいかない。ただ他の遺伝的癌については未知数)
  • 針生検の結果は浸潤性乳管癌、HER2 3+  ki-67 HIGH
  • リンパ節細胞診悪性、鎖骨上リンパ節まで腫大あり
  • PET-CT 明らかな遠隔転移なし

いいニュースは遺伝性の癌ではないので、BRCAについては子供たちのリスクが高いわけではないこと。また遠隔転移がないこと。

悪いニュースは乳房の全切除、リンパ節の郭清は必須であること。そして乳房の同時再建は行えないこと。

乳房の全切除は覚悟がついていたのですが、再建がすぐにはできないことはとてもショックでした。人前では絶対に泣かないと決心していたのですが、涙腺がコントロールできず。。。先生はごめんなさいね、つらい話よね・・とティッシュを渡してくれました。ごめんなさい、先生は何も悪くないのにね。

抗がん剤の治療は半年、その後手術、さらに放射線治療、おそらくハーセプチン(HER2タイプに効果のある薬)は1年は投薬されるとのことでした。

手術後の話はまだ先になるのですが、リンパをとるのでリンパ浮腫にならないようリハビリに通うとか、放射線治療は毎日通うとか、思ったより治療はながく大変そうです。

髪の毛を失うとこ、乳房を切ること、それがあまりにつらくて、また聞いてしましました。

「先生、治療しないとどうなりますか?どれくらい生きられますか?」

先生は真面目に、そういう選択もあるんですよ、といいつつ、「難しい質問ですが、あなたの場合、すぐに転移して2,3年でしょう」とのこと。

元気で2年生きられれば十分なんだけどなーと思ってたのが顔に出たのか、「乳癌は特殊なので、治療しなければ表面に出てきますよ。」と言われました。そっか、私の癌は大きいのか・・・

横で聞いていた夫は、「治療すれば治るんだから!何言ってるの」みたいに困ってた。夫に話してはいないけれど、乳癌のあるあたりに痛みがあって、様子がおかしいのは自覚して私としてはあまり楽観はしていない。

治療しなければよくて3年生きられる、けど元気にすごせるわけじゃなさそう。それも困るな。痛いのはなんとかなっても、癌が表に出てくるのはやはり避けたい。

「がんばって治療します」

殊勝に誓ってみた。先生も夫もがんばろう!という雰囲気だったけど、私はまだ”きれいに人生をしまえる方法はないかな”と心の隅で考えていました。

+++

ちなみに、先生に「くれぐれもネット情報を見すぎないこと」とくぎを刺されていたのですが、さきほど気になって調べてみると・・

私のステージ3Cというのは -->鎖骨上のリンパへの転移があるので、5年生存率は50%。化学療法が効けば生存率はあがるようだけど。奏功しなけれ30%程度。

 

先生の「見るな!」の意味がわかりました。ネット検索するまでは根治できると信じていたけど、悲観的な情報を目にしたとたんとんでもなく気持ちが落ち込みましたよ・・

ここからが人間性のみせどころだな。

神様、どうか私がかっこいい私でいられますように。

PET-CTとMRI検査をうける。Chat GPTではなくPET-CTね。- Day21

一気呵成に予約した検査項目も終盤。今度はPET-CTとMRIの検査を受けてきました。

予約時間に検査エリアにいくと、検査待ちのお仲間が複数名いました。受付をすると「付き添いの方はいらっしゃいますか?」ときかれ、ふと見渡すと確かにみなさん付き添いの方がいらっしゃる。体調はすこぶるいいのでもちろん私に付き添いなど必要ないのだけど、こうなるとちょっと寂しく感じるのが人情でして・・

検査着に着替えて、PET-CTを受けるために薬を静脈注射します。PET検査は、微弱な放射性物質で癌細胞に集まる性質をもつ何かを体内に入れて、それをCTで写して体のどこに癌細胞があるかを検査する技術です。私は乳癌ですが、もしかして転移しているかもしれないので小さな癌細胞をこれでみつけるぜ!といったところ。遠隔転移があった場合、状況は悲観的になるので、私的には検査の肝だと思っています。

お薬を注射してからは、1時間ほど安静にしておかなければいけません。なんとこの間、スマホをみたり本を読んだりすることもできず、ひたすら静かに横になっているのみ。えー、1時間も退屈じゃん!と心配していましたが、薄暗い部屋のリクライニングチェアに座ったら3分で寝てました。ww

放送で名前を呼ばれ、「もう少し寝かせてー」って言いそうになりそうなくらい快適な睡眠空間でしたね。

CTが終わったら今度はMRI。初めての経験でしたが、この機械、噂通りとにかくうるさい!うつ伏せに横たわって、機械の中に入ります。とにかく動かないようにといわれるも、息してるので胸は上下に動くんですよ。なるべく静かに息をしてください、という無理なリクエストあり。

その後手首の静脈から造影剤をいれての撮影にはいります。この時ヘッドフォン(MRIはうるさいのでヘッドフォンします。ほぼ意味はない程度の遮音率です。)から「ここからは後戻りができない一発撮影です!くれぐれも動かないように!」というすごい圧がかかりました。えー、造影剤はまれにアレルギー反応が出る人がいるから、体がかゆくなったり気持ち悪なったりしたらすぐナースコール押せって言ってたじゃんー。この圧では気持ち悪くなることも許されなさそうよ。。。

CTもMRIも撮影時間はおのおの20分くらい。予約がはいっていたので待ち時間もほぼなく、この日もスムーズに検査を終えることができました。

恐怖のお会計は約3万8千円程度。最初に7万という支払いがあったので、これくらいの金額ではもう驚かなくなりました。あら今日はちょっとお安いじゃなーい、くらいの余裕っぷり。カードの引き落としの時にまとめて青くなることにします。

タリーズのカフェラテ片手に帰宅。検査のために前日から絶食していたのでやっと食べられるー。

 

これで治療開始前の全検査が終了しました。あとは天命を待つのみ。。

乳房針細胞診再び -Day11

乳房に針を刺して細胞をとる検査がやってきました。以前別のクリニックでやったので二回目です。前にやったデータがあるのに、なぜ再び?と思いますが、先生曰くよそでやった検査結果はここの病院では保存することができないのだとか。(意味はよくわかりませんが、まぁ諾々と流されるのみ)

予約の時間に検査室の前で待っていると、同じ検査をする女性が複数出入りしていました。私は少し早めに到着してしまったので、私の前に検査する2名の方の事前説明を耳にすることとなり、自分の時の説明と合わせて都合三回、検査の内容の説明をうけたことになりました。検査当日はシャワーも運動もお酒もNG。血行がよくなると針を刺した箇所から出血するおそれがあるから。出血がとまらなければ遠慮なく病院に連絡すること、など丁寧に説明してもらいました。この病院の全スタッフ(事務スタッフ、看護師さん、技師さんなど)は大変に人当たりがやわらかく丁寧で親切な印象をうけます。患者の全員が癌をわずらっているから自然と優しくなるのかしら・・・と思ってみたり。ソースは曖昧ですが、聞いたところによるとストレスは癌を悪化させるというので、患者にストレスを与えないよう細心の注意を払っているのかもしれません。単にいい人がおおいだけかもしれないけどね。

そして、恐怖の針生検。エコーで腫瘍と針の位置を観察しながら、ターゲットまで直径4ミリ程度の針を差し込み、ガチャン!と腫瘍を切り取ります。

やぱり痛い。。。じんわり痛いのと、細胞を切り取る瞬間の衝撃がやたら痛い。麻酔をしているので皮膚自体に痛みはないのに、起きている神経のどこかに響いている感じ。

先生に「大丈夫ですか?」と聞かれ「全然大丈夫ではないけれど、がんばるしかないので大丈夫です!」と痛いことをアピールしつつ、検査を続けてもらいました。

3回細胞をとるところ、最後のガチャンが、「カチ」程度の音だったので、「先生最後空ぶってない?」と聞いてたところ「ダメかと思ったけど細胞はちゃんと取れてるから大丈夫!」ということでした。あーよかった。最後に腫瘍の位置にマーカーをいれて(抗がん剤をつかって腫瘍が小さくなるとどこに腫瘍があったかわからなくなるのでマーカーを置いておくらしいです。どんな形をしているのか、体の中で動かないのか不思議です。)検査終了。

前回他のクリニックで針を刺した場所はぼっこりとへこんで大きな傷あとになっていたので、また傷が増えるのかと心配したのですが、今回は前回の傷跡から針を刺してくれたので傷自体が増えることはありませんでした。そのうち切り取ってしまう乳房ですが、それでも傷が増えなかったことは少しうれしい。人間とはかくもナンセンスな生き物ですな・・

検査後は10分くらい看護師さんが全力で傷口を圧迫して止血してくれましたよ。ありがとうー。

この日は痛み止めの頓服を処方してもらい帰宅。仕事3時間ほど途中抜けしての通院となりました。とはいえ痛みのため帰宅後もあんまり仕事ははかどらなかったけど。あとなんか精神的なダメージが大きくて、ケガした熊が穴の中に隠れているような気分でその日はおとなしく過ごしました。

検査結果は10日後くらいにでるようですが、その他のすべての検査と合わせて説明を受ける予定です。

祈ったところで結果はかわりませんので、恐れることなく期待することなく日々を生きるのみ、といったところです。

がん研有明病院で診察をうけ、スムーズな導線に感動する - Day7

健康診断をうけたクリニックで癌の宣告をうけて約一週間、紹介状を書いてもらった有明にあるがん研有明病院を訪れました。一人で訪れても全く問題なかったのですが、診断の詳細や今後の検査治療について夫に再説明するのも手間だし、途中間違っちゃうって認識に齟齬があってもよくないので、夫も一緒に話を聞くことにしました。

自宅から車で約30分の場所にあり、通うのも便利。癌は治療期間が長いので通いやすいのが一番大事です。(というのはクリニックの先生のうけうり)

予約の時間に到着、あらかじめダウンロードして記入しておいた問診票および診断資料みたいなのを受付に提出します。患者さん多くて、こういってはなんですが、にぎわっている病院です。こういってはなんですが、全員癌をわずらっているんだろうと思うとなんか「仲間多っ」て思いました。不謹慎かもしれませんが、ここにいると癌であることがノーマルと思えます。

普段はマスクはまったくしませんが、院内では着用義務づけられているのでおとなしくマスク姿で待機。

受付でPHSをもたされ、乳腺科のある2Fへ。夫は「フードコートの呼び出しみたいだね」と言ってましたが、診察の順番がくるとこのPHSがピーピーと呼んでくれます。小さい液晶画面に自分の名前が表示されていて、「中待合でお待ちください」とか随時メッセージも出て便利。予約時間もおおむねオンタイムですすんでいるし、うちの近所の大学病院とはずいぶん違うねぇ、と導線の良さにちょっと感激しました。ストレスが少ない病院といった印象。

初対面の乳腺外科の先生は女医さんで、私の胸を触診して、癌ではあるけれど、リンパまで浸潤しているかはまだ検査をしてみないとわからない。リンパが腫れているのは私の皮膚炎の影響かもしれない、と少々楽観的な診察をしてくれました。

優しい先生なのですが、私本人は前回の検査結果のレポートにがっつり「リンパに多数の侵出がみられる」と書かれているのを読んでいるので、覚悟はついています。

それでも、万に一つの希望をもって先生に聞いてしまいました。

「先生、万が一、リンパに癌がまだ入り込んでなくて、リンパもとらなくていいとしたら、乳房を温存できる可能性はゼロではないですか?」

先生は少し気の毒そうな顔で

「乳房のむくみ具合からみて、それはやはり無理でしょう。乳房の切除は避けられないです。」とはっきりと述べられました。

そうですよね、とほほ。頭ではわかってはいても一ミリでも可能性があればいいな、と思ってしまうあたり、私もまだまだかわいいです。

夫はレポートに書いてあった他の癌の話が気になっていたようですが、それはまったく関係ないから大丈夫といわれ安心していました。

まずは検査をして、その結果次第で治療内容がきまるということになり、さっそく予約係の方にお願いして検査のスケジュールをたててもらいます。

  1. 血液検査
  2. 遺伝子検査(遺伝性の癌かどうかを保険適用で検査できる)
  3. 尿検査
  4. 乳腺エコー
  5. リンパエコー
  6. 乳房針生検
  7. エコーガイド下穿刺吸引(リンパの針の検査)
  8. PET-CT
  9. MRI

5まではそのまま同日で検査できることになり、残りの検査を3日にわけてやることになりました。半日外出で対応できそうなので、仕事しつつもなんとかなりそうです。

それにしても乳房針生検は前回おっぱいに大きい穴があいちゃったのよ、あれもう一回やるんだと思うと憂鬱。めっちゃ痛いんだよね・・

ざっくりの説明では、リンパに浸潤していなければ、抗がん剤3か月(3週間に一回の点滴を4回。これで1セット)、リンパまで癌が出ていれば抗がん剤2セット(3か月を一セットとなので6か月)、その後手術ということでした。ここでまた悲しいお知らせは、確実に脱毛します、とのこと。

私の癌はHER2+で、これに効果のある抗がん剤は脱毛しないらしいのですが、他の抗がん剤を合わせることで効果が高くなるため、組み合わせる方の抗がん剤の作用で脱毛するんだって。

どうせおっぱいとっちゃんだったら、抗がん剤つかわないて手術だけでなんとならないのかな、と私は思うのですが、見えない癌をやっつけないといけないとかなんとかいろいろあるみたい。

そして。PET-CTで遠隔転移が見つかった場合は、手術はしないそうです。遠隔転移していたら今更乳房をとってももう無駄だから、みたいなお話でした。

心配性の夫の前でそんな話しないでー!

 

その後エコー検査はそれぞれ40分くらいずつでとても丁寧に見てもらいました。薄暗い中横になっているので、がっつり寝てしまいました、私。全部の検査が終わったのは診察が始まって6時間後だったかな。

自動会計も待ちなく非常にスムーズ。

ただお会計がオーバー7万円だったのには震えました。

癌はお金がかかります。

癌患者となり、医療費と仕事の関係を考える - Day2

癌患者となり、(ちなみに一般的に「癌患者」より「がん患者」とひらがなのほうが多く使われるのは漢字で書くとなんかちょっと怖い感じがするからだとか)、まず最初に心配になったのが「治療費」。

うちは夫も私も医療保険も生命保険も一切入っていません。子供が小さいころに一応夫には逓減型の生命保険には入ってもらっていましたが、下の子が高校生になったときにそれも解約しました。高額医療制度や遺族年金や傷病給付などを考えればそれほど手厚い保険はいらないし、夫が働けなくなったら私が生活を支えるだけ働けばいいだけのことなので。夫婦が同時に病気になる可能性はかなり低いだろうと考えた結果です。

ネットで調べると癌の手術費用は30万程度とのこと。我が家は高額医療のリミットが25万円あたりにあるので、月の支出のMAXは25万円と想定。会社負担で従業員にかけられている生命保険は手術1回5万円、入院1日5千円の給付だったので、ちょっとは助けになるけれど、それでも月25万の自己負担はいたい。

夫はもちろん私に働けとはいわないけれど、大学生&大学院生のいる家計としては医療費の負担は大きすぎる。ん-、、自分の治療費くらい自分で賄うしかないか、と覚悟をきめましたよ、えらいなー、私。

病気をかかえて仕事をすると周りの人に迷惑をかけるので退職したほうがいいんじゃないかともちろん私も考えましたし、感じました。でも一方で、会社は従業員の生活に少しくらい責任もってくれてもいいんじゃないの?うちらファミリーじゃん!とちょっと勝手な考えをもったりもしました。しかもファミリーじゃないし。

外資は結構短期的な収益見込みでコスト削減をはかるのでリストラも日常的に走っています。結構厳しい状況にあるのでクビになっても文句はいえないものの、自らやめるという必要もなかろう、ととりあえず直属のマネージャーに相談してみました。

「えー、大変悲しいお知らせがあります。わたし、癌がみつかっちゃいまして。」

当然のようにマネージャーは絶句、その後首がおれちゃった?くらいガクッとうなだれてしまいました。

「えー、私の希望としては、(体力的に)働けないかもしれないけれど、働き続けたいです。」

頭の回転の速いマネージャー氏の脳内コンピューターが動く音が聞こえた気がします。

「無理はさせられない、できるだけサポートする、仕事はこの先も多い、治療計画がきまったら教えてほしい、海外にいる上のマネージャーにも相談しておく」とテキパキと回答されました。彼女なりにショックを受けている様子もあるにはあったのだけど、それ以上に臨時社員を雇用するのかとか、あるいは他の誰かに私の仕事をカバーしてもらうのか、仕事に穴をあけないことを考えなきゃいけない立場だからね、彼女は。

癌という言葉の持つパワーは大きい。不吉なにおいがするし、できれば目を背けていたい。だから癌を患った人間が身近で働くことは多くの人にストレスを与えるかもしれない。

こちらによると、癌と診断されたとき3割強の人が離職を検討するという。「びっくり離職」という言葉が的を射てるね。でも離職すると治療費がまかなえんのよー。かといって癌保険にはいっておけばよかったとも別段思わないです。

この先どれほど体調が悪くなるかは全く予想もつかないですけど、いい大人なので自分の治療費くらいは自分で面倒みれるよう、働き続ける選択をした私でした。上司と家族と周囲の理解があってこそなので、そこは深く深く感謝です。