日々旨いものを食べ、旨い酒をのみ、一切の節制をせずくらすこと十数年。3日に2本ペースで赤ワインを飲み、最近では月に4-5回の飲み会では誰よりも酒を飲み、楽しく暮らしてきた。食前だろうが寝る前だろうが、本能の赴くままにポテトチップスを食べたことを私は今も後悔はしていない。No chips, No life。
そんな幸せな人生のある日、ふと「なんだか今日は体が軽い。もしかして私痩せたかも?」という瞬間に出くわしてしまった。逢魔が時ではなかったけれど、どう考えてみても魔が差したとしか思えない瞬間だった。そしてためらいもなく体重計に乗り、信じられないほどの体重増加にとうとう気が付いてしまった。
体重計の表示は60キロ。
あまりの衝撃に一度体重計を降り、気持ちを整えて、再度体重計に乗る。体重計への刺激を最小限にすべくそおっとつま先から羽毛のようななめらかさで体重計に乗る。
体重計の表示は60キロ。
年齢と体重なんてただの数字よ。
フランス人ばりに言い放ちたいところだけれど人生でここまで太ったことはないのも事実。過去を振り返り体調を省みると52キロ程度がベスト体重と思われるものの、40代後半という年齢を考えると54キロくらいが今では適正か。暴飲暴食を重ねても体重も体形も変わることはないと信じていたが、そんなの全くの妄想だったらしい。ぐぅぅぅぅ。
それにしても。体が軽いと思ったタイミングで体重を量った結果がこの数字なわけだから、ちょっと体が重いなぁ、なんて思っていた時は一体どれほどの重さだったのだろうか。想像するだに恐ろしいよ。体重を量ってしまった私は楽園を追われるイヴと同じ。もうあの幸せな時は戻ってこないのか。
・・・などと傷心にひたっている場合ではない。気づいてしまったからにはこの体重を適正値まで戻さねばならない。ちょっとくらい太ったっていいの、人生は短いのだもの、好きなものを食べて楽しく暮らすわ、と本能がささやくも、いや待て、スタイルのよい友人に引け目を感じて素敵な洋服を諦めなければならない人生が楽しいわけがないだろ、と理性が叫ぶ。
とりあえずダイエットするかと考えてまず頭に浮かんだのが日々電車の広告で目にしていたトロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ。広告ってこうやって記憶のどこかに入り込んで購買につなげるのねー、と感心しつつ書店へダッシュ、即購入した。
この本、結構な分量があり、とにかく延々と"体の痩せるメカニズム"だの"既存の減量法が迷信じみてる"だの"そのエビデンス"だのを書き連ねていて、正直「さっさとどうしたら痩せるか教えてくれよ!」と言いたくなる。が、私は知っている。こういう本は絶対に最初から順をおって忍耐強く読まねばいけないことを。メカニズムやエビデンスをしっかり理解した上でないと正し減量メソッドは効果を発しないのだ。
しっかりと忍耐強く熟読した結果。
結論は・・
「食うな」
・・・。
そう、痩せたければ食うな。という明快なメッセージが記されていた。
これだけ聞くと当たり前じゃんっ、となるしそんなこと到底実践できない。しかしちゃーんと順序だてて本書を読めばこの「食べない」の意味がわかるのだ。
というわけで始めましたよ、間欠的ファスティング。